唄うたいの心

2003年10月14日
きのうのB.Bストリートは若さ溢れるバンドたちとの共演で、若い出演者からはからまわりなほどの気合いの渦が溢れかえっていた。
リハーサル中に手入れの悪い俺のエフェクターがまたしてもぶっ壊れ、知り合いにブルースドライバーを借りてのステージ。
長野の友人にライヴビデオを送ってくれと頼まれたので、撮影もしてるから嫌がうえにも気合いがはいる。
1バンド目から異様にリアクションの悪い観客。
この手の客を乗らせるのは難しい。
流れを変えようと俺は自らサクラになって曲が終わるごとにおおげさに拍手するが、客はあいかわらず全く無反応。そうこうしてるうちにがきおやじの出番になった。
いきなり新宿でかっ飛ばすが、一部のがきおやじファン以外は静まり返っている。
くそーっ!まだまだっ。
ぶっちゃけでもいつもより余計にぶっちゃける。
更に汗だくでサイコウをぶちかます。
・・・パチパチパチ・・・申し訳ていどの拍手。
たまらずマイクで客に魂は伝わってねーのかと問う。伝わった奴は拍手くれ。
パチパチパチパチ・・・ さっきよりは音がいくらか大きいが、まだまだイマイチ。
持ち時間はわずかあと2曲。
このままでは終われない。道端で勝負だ。
この唄で全員に拍手させてやると宣言した。
声の調子もよく世界に浸り切り最後のサビの一番いいとこで、使い慣れないブルースドライバーから
シールドがすっぽ抜けた。
ギターの音が完全に無くなった。
だが世界に入り込んで唄っている俺にはそんなことはどうでもいいことだった。
ギターを床に投げ捨て立ち上がって唄い続けた。
本気だった。
曲が終わって起きた喝采はさっきより更にいくぶんかは大きくなっていたが、俺にはもうそんな事さえどうでもよくなっていて、ただ唄い手として一瞬でもマジになれた歓びだけが胸に残っていた。
最後の赤帽でいつものように幕が降りて、それと同時にいつもの生活が白々しく戻ってきたが、今回また一つ俺の中で何かが変わった気がした。

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