岸田秀という人が書いた「ものぐさ精神分析」という本にハマっている。
この本を手に入れた経緯は忘れたが、うちの本立てにもう何年も前からあった記憶があるので、ずいぶんまえに購入したかもらったかしたのだろう。
1982年初版と書いてあるので俺が10才のときにはすでに書かれた本であるのだが、かなり斬新なことが書かれていて非常におもしろい。
もう何度も忘れた頃に読み返すのを繰り返しているが、毎回違うカルチャーショックを受けるのだ。
この人の説というのは「史的唯幻論」というもので、ひらたく噛み砕いて説明するのはちょっと難しいのだが、俺の稚拙な文章能力をフル回転して説明すれば

「人間という動物は生物学で規定するところの本能がなんらかの理由で完全に壊れてしまった奇形種であり、現実を見失っておのおのがバラバラな私的幻想の中に住んでいる。
そのため自分以外の者と心が完全に繋がりあうことはできない。
しかし、まったく誰にも依存しないで生きていくのは不可能なので、各人が似たような私的幻想の一部を共同化して共同幻想を築き、それを現実だとお互いが暗黙のうちに思い込むことによって、かろうじて繋がりをもっているに過ぎない。
家族も社会や宗教やその他諸々の人間関係もすべては共同化された私的幻想に過ぎない。
そうなった原因は、人間が生まれてはじめて性欲を持ったときにその性欲が不能の性であることに起因する。
ヒト以外の動物は性欲を獲得したときにはすでに性交可能な身体的条件を満たしており、すぐに性的本能に従って行動できるが、人間が性欲をはじめて持つのはまだ幼く身体的性交条件を満たすずっと前(幼児期すでに性欲は存在する)なので、まず親に向けられた性欲はかならず挫折する。これがいわゆるエディプス・コンプレックスである…」

このまま書き続けたら本が一冊出来上がりそうなのでこれくらいにするが、今書いたようなことに対する根拠がこの俺でさえ納得できるように非常にわかりやすく説得力ある文章で書いてある。
ある意味かなりニヒルな世界観ではあるが「史的唯幻論」こそ真実の人間世界の姿に近いような気がしてならない。
明日は「続・ものぐさ精神分析」を読んでやろう。

コメント

最新の日記 一覧

<<  2025年6月  >>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293012345

お気に入り日記の更新

日記内を検索