組長再来！

俺は自分に気合いを入れるつもりだったのだ。
がきおやじの冬は去り春の訪れだ。暖かくなってきた。録音もあるしライウ゛もだんだんつまってきたし、こんなボサボサの髪の毛ではロックの神も降りては来ないのではないかと。
さっぱりして気分新たに出なおすつもりがまたやっちまった。
務所帰り。または歌舞伎町で黒塗りの高級車が停車したときに真っ先におりてボスをエスコートする若い衆。
はさみを右手に持ち鏡見ながら左側の髪を切るのは大変な作業である。指の構造上刃先を真っすぐにするのがえらく難しい。かなり無理な持ち方になる。
不器用が売りのこの俺様がそんな作業うまく出来るわけゃない。
明後日にはライウ゛があるからそれまでにと、ペンキの仕事が終わって家に着いたのが夜8時過ぎなのにそれから飯喰ってそのあと始めたんだから気力ももたない。
ふと気を抜いた拍子にはさみが縦を向き、ザクリといってしまった。
こうなると長さをあわせるためには丸刈りにするしかないのだ。
ああ。大失敗。気合い入り過ぎた。
明日のライウ゛で気合いがからまわりしないよう気を付けよう。
ロックの神様よどうか降りて来てくれ！！